お米は「研ぐ」のではなく「洗う」方がよいとされる理由

日本人の食生活が多様化している現代ではありますが、農林水産省の調査によると、主食の割合はお米が41%と、今なお日本人の主食はお米だと言えます。そのため、お米をおいしく炊くことに対して、多くの方がこだわりを持っており、炊飯の前にお米を研ぐことは日本人にとっては常識となっています。 しかし近年は、お米は「研ぐ」から「洗う」時代になったとも言われています。そこで今回は、お米を研ぐ理由や、洗う方がよいとされる理由について解説します。

1. お米を研ぐ理由とは?

炊飯の前にお米を研ぐことは当たり前に知っていても、なぜ研ぐのか理由はよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。お米を研ぐ理由は、お米を玄米から精米する過程と関係しています。

1-1. お米を玄米から精米する過程について

お米が店頭で白米として消費者の手に渡るまでには、玄米から精米をする工程があります。玄米とは、収穫された米のもみ殻を取り除いた状態で、ヌカ層と呼ばれる茶色の層に覆われています。精米をする工程では、精米機でこの玄米のヌカ層や胚芽を除いて、胚乳だけを残した白米の状態となります。

1-2. お米を研ぐ理由

精米した白米の表面には、上述の玄米から精米する過程で取り切れなかった「肌ヌカ」※が残ることがあります。この肌ヌカは、決して悪いものではなく、むしろミネラルやビタミンが豊富に含まれているのですが、あまりおいしいものではなく独特のにおいもあります。そのため、お米を炊く前に、研ぐ(水に浸して米同士を強くこすり合わせる)ことにより肌ヌカを取り除くようになったのです。
※肌ヌカ:精白米の表面に残った粘着性の強いヌカ

2. お米を研ぐのではなく洗う方がよいとされる理由について

ここまで、お米を研ぐ理由について解説してきました。しかし近年は、お米は研ぐのではなく洗う方がよいとされています。ここでは、その2つの理由について解説します。

2-1. 理由1:精米技術の発達

一つ目の理由は、精米の技術が格段に良くなったことによります。以前は、今ほど精米技術が発達しておらず、精米してもヌカが残ってしまうことも多く、炊く前にお米をしっかりと研ぐ必要がありました。しかし現在の精米技術では、お米に負担がかからないよう工程を3回に分けて、米粒の表面を少しずつ削りながら摩擦熱でヌカを除去して精米しており、ほとんどヌカが残るようなことはありません。そのため、お米をしっかりと研ぐ必要がなくなりました。

2-2. 理由2:お米が傷つき割れてしまうのを避ける

二つ目の理由は、お米を強くこすり合わせることで、傷つけて割れてしまうのを避けるためです。上述の理由1の通り、ヌカを取るために力を入れて研ぐ行為が必要なくなり、軽く洗う程度にした方が、不必要にお米を傷つけることもありません。お米が割れてしまうと、せっかくの栄養分やうまみ成分が逃げてしまいます。

3. お米を洗わずに炊くとどうなる?

お米を洗う理由について解説してきましたが、洗わずに炊くと、どうなるのでしょうか。結論から申し上げると、とくに食べられないというようなことはありません。現在の精米技術では、ほとんどヌカは残らないとはいえ、完全ではありませんので、多少のヌカ臭が残るでしょう。しかし、お米の保存状態によっては、埃などの汚れが付いている場合もありますので、やはり炊く前に洗うに越したことはありません。

4. 無洗米について

ここで無洗米についても解説しておきます。無洗米とは、文字通り洗わなくてもよいお米です。つまり、肌ヌカをほぼ完全に取り除いたお米のことです。「ほぼ完全」と書きましたが、その基準は業界(米穀公正取引推進協議会)の自主ガイドラインによって、無洗米の品質基準の中で定められています。なお、精米後に無洗米にする工程で肌ヌカを除去する方法は、主に以下の3つの方法で取り除いています。

● 肌ヌカの粘着性を利用して除去する
● 肌ヌカと水が混ざったとぎ汁をタピオカデンプンで吸着させる
● 肌ヌカを水で洗い落して乾燥させる

そして無洗米は、お米を炊く前に洗わなくてよいことから、以下のようなメリットがあると言われています。

● 手間が減り調理時間を短縮できる
● 水の使用量を減らせる
● 洗米による栄養価の流出が低減できる

無洗米を炊く際の注意点としては、研ぎ洗いしない分通常の精白米よりお米の正味量が多くなるため、水を少しだけ多め(米1カップにつき大さじ1~2杯分)に入れて炊くようにしましょう。

5. まとめ

お米を研ぐ理由は、玄米から精米する過程で取り切れなかった肌ヌカを、水に浸して米同士を強くこすり合わせて取り除くためです。しかし近年では、精米技術の発達により、ほとんどヌカが残ることはなくなったため、軽く洗う程度でよいとされています。また、無洗米のように、ヌカがほぼ完全に取り除かれており、洗わずに炊けるお米もあります。 島根県は松江市にあります「有限会社原田米穀」は、一般財団法人日本米穀商連合会から認定された「五つ星お米マイスター」がいるお店として、島根県の本当においしいお米を皆さまにご紹介しております。当店のオンラインショップでも購入できますので、おいしいお米をお求めの際は、ぜひご利用ください。