八十八の手間があるって本当?

お米の育て方について解説!

日本人の主食であるお米ですが、農業に詳しい人でなければ育て方を知らないことも多いでしょう。「米」の字を分解して「八十八の手間」があるといわれている米作りは、さまざまな工程を経て私たちの食卓に届けられています。今回は米作りの工程について詳しくご紹介します。米作りの大変さを知ることで、毎日食べているご飯に対しての見方が変わるかもしれません。

1. 「水稲」と「陸稲」でお米の育てる場所が違う

日本で一般的に食べられている米は「うるち米」という種類です。うるち米を育成する場所によって、呼び方を変えて区別しています。

1-1. 水稲

「水稲」は水を張った田んぼで、お米を育てる方法です。水稲で育てると、連作障害になりにくいというメリットがあります。農地が少ない日本において、休閑地を設ける必要のない水稲が定着するのは、必然だったといえるでしょう。また日本は豊かな水環境に恵まれていたおかげで、水稲が米作りの主流になっていきました。

1-2. 陸稲

「陸稲」は畑や陸田で栽培する方法です。田んぼに水を引き込む必要がなく種を播くだけで始められること、水源のない土地を活かせる点がメリットです。水稲に比べると全体の収穫量が劣り、米の風味が落ちることから、取り入れている農家はそれほど多くありません。
近年水稲や陸稲用の育成環境に合わせた苗が登場し、風味が落ちるといったデメリットが改善されつつあるのです。米作りの新たな可能性にも、期待がもたれています。

2. お米の育て方には「直播栽培」と「移植栽培」がある

作物を育てるための第一歩として「種播き」があります。なかでもお米作りの場合には「苗を植える」方法もあるのです。それぞれ「直播栽培」「移植栽培」と呼ばれています。
直播栽培は、稲の種である「種もみ」を直接水田に播く方法です。直播きのメリットは、育苗と田植え作業にかかる時間を省略できる点です。米作り全体の1/4を占める、育苗と田植えの作業時間を低減できます。人手不足と高齢化に悩む、農家の負担解消になると再評価されているのです。
移植栽培では、別の場所で育成した苗を水田に植えていきます。苗を等間隔に植えることで安定した管理が可能になり、収穫量の目安を付けやすい点がメリットです。手植えだけでなく、機械を用いて植え付けられるため、大規模水田では効率のよさもメリットとしてあげられるでしょう。

3. お米の作り方は育成に合わせて6段階に分類される

うるち米を水稲の移植栽培で育てた場合の、工程を紹介しましょう。お米の育て方は、大きく分けて6つの段階に分けられます。

3-1. 土づくり

前年の稲刈りが終わったら、次の年の収穫に向けて「土づくり」を始めます。秋から春にかけて田を耕し「基肥」を加えていくのです。基肥は稲の育成に必要な栄養がたっぷり詰まった、米作りに欠かせない肥料です。

水田の周りに畔を作り、水を引き込む準備をします。田を十分に耕したところで、全体に行きわたる程度に水を張ります。その後稲を植え付けやすいようにするために、水田の土をやわらかくする「代かき」を行って、土づくりは完了です。

3-2. 種苗の準備

移植栽培のための、苗を育成していきます。品質の高いお米を育てるために、良質な種もみを選別することが重要です。発芽した種もみを「苗代」にまいて育成していきます。種播きから1か月ほどで、水田に植え付けできる状態になるのです。

3-3. 田植え

代かき後の水田に、田植え機を使用して育成した苗を植えていきます。苗の品種によって、植え付け密度や深さを調整するのがポイントです。植え方が浅いと苗が浮き上がり、深すぎると育ちが悪くなり収穫量に影響します。

3-4. 管理と除草

田植え後の苗は「分げつ」と呼ばれる枝分かれを繰り返して、茎を増やしていきます。分げつの発生が止まると、次第に成長が進み背丈も伸びます。またこの時期には雑草を取り除いたり、病害虫への対策をしたりするなどの管理も欠かせません。薬剤を用いたりアイガモを放って雑草や害虫対策をしたり、管理の仕方は農家によってさまざまです。

3-5. 追肥と水抜き

稲の生育に合わせた肥料を施していきます。追肥をするのは分げつ量やもみ数を増やすこと、穂の実りをよくすることが目的です。田植え後から収穫までの期間に適宜、不足しがちな栄養を施していく必要があります。
品質の高い稲を育成するために、適切な「水抜き」は重要です。水抜きをして田を干して乾燥させ、水の深さを調節して温度管理を行います。田を干すことで根の成長が促されるため、収穫期を迎えて重く実った穂をしっかりと支えられるようになります。

3-6. 収穫と乾燥

穂が黄金色に変わったら、いよいよ収穫の時期です。コンバインは刈り取りと脱穀を同時に行えます。鎌を使う場合は稲を刈り取った後に自然乾燥させ、脱穀機を使って脱穀するのです。
収穫したての「もみ」には水分が20%ほど含まれているため、15%程度になるまで乾燥させます。天日干しによる自然乾燥や、機械を用いて熱風で乾かす方法があるのです。乾燥することで、籾がらが取り除きやすくなり「籾すり」の効率が上がります。貯蔵性もよくなるため、米作りに欠かせない工程です。その後精米されたものが、小売店などに出荷されます。

4. まとめ

1年を通して丁寧に育てられたお米は、農家の知識と手間によって大切に作られていることをご紹介しました。私たちがおいしい白米を食べられるのは、農家の方たちが手間暇かけて作ってくれているおかげです。お米作りの工程を知ると、普段食べている白米が一段と味わい深く感じるのではないでしょうか。 島根県松江市にあります「有限会社原田米穀」では、島根県産の数々のお米をご用意しております。新潟県魚沼産のお米と並び称される、島根県産の「仁多米」は当店自慢のお米です。ネット通販もご利用いただけますので、ぜひともお気軽にご相談ください。