美味しいは、愛ある共同作業

炊飯とは

「炊飯」は、水分15%の米に水を吸わせ、加熱して65%の飯にします。
「飯を炊く」は、煮る・蒸す・焼くの複合過熱で組み立てられています。

そして美味しいごはんは

  • 産地生産者の米栽培にかける情熱
  • 米屋の目利きと精米技術
  • 消費者の炊飯知識技量

他にもいろいろあるとは思いますが、それぞれの役割の中ですべき事と「愛情」によって美味しいごはんが炊き上がる共同作業です。
以下、一般的なごはんの炊き方ですが「美味しい!」の一助になればと思います。

炊飯のポイント

1.お米の計量

正確なお米の計量

計量マス・カップはすりきりで正確に計りましょう。
米びつでの計量はお米の状態により量が変わることがあります。
お米の水分(・新米・古米など )精米の状態(・上白米・分づき米・無洗米処理など )おすすめは重量による計量です。

お米の換算(参考)
  • 1カップ:180㏄=0.18ℓ=1合=150g
  • 1ℓ = 5.6合 ≒ 0.83㎏ → 1.2ℓ≒6.7合=1kg
  • 1.8ℓ = 1升  ≒ 1.5㎏
  • 18ℓ = 1斗(10升)=15㎏

2.洗米

最初は、お米の表面に付いているヌカやゴミ・ホコリを取り除くつもりでタップリと水を注ぎ、手早く水を切ります。 *この時、水を軟水のミネラルウォーターなどの良い水を使うと炊飯の味が良くなるという。

  • 力を入れすぎず抜きすぎずという事
  • お米とお米をこすり合わせるようなイメージを持ち一定のリズムでリズミカルに研ぐ事
  • 研ぐ時間をかけ過ぎない事(3分が目安)お米は水にぬれると急速に軟化します。
    時間をかけ過ぎるとお米が割れて美味しく炊けません。
研ぐ回数

通常のお米なら2~3回、研いですすいでを繰り返せば綺麗になっていますが、精米の状態で多少回数も変わります。研ぐ前にヌカの付き具合も見ておきたいものです。

3.浸漬 (・水浸または浸水)

浸漬の目的は

お米をアルファー化させ、米粒の中から炊き上げるよう手助けをするためです。水浸時間の短いごはん(早焚き)は水分を早く手放してしまいます。結果的にふんわりと炊き上がらず、時間が経つとぱさついてしまいます。
浸漬時間

一般的に水温の高い夏季は40分以上、水温の低い冬季には1時間以上といわれています。
品種やお米の質による浸漬時間の違い

コシヒカリや有機質肥料を使用して栽培されたお米は吸水力が弱いように感じます。ごはんの状態を見ながら好みで30分程度づつ長く浸漬時間をとると、ごはんの旨みを引き出すことができます。古米など硬いお米は2時間以上は必要です。
水きりについて

水浸時は水溶性の不純物などが流出し、浸透圧作用で炊飯器内の水温が上がります。

特に夏場などは外気も暑くなるため細菌の繁殖も心配ですし、お米の古米化による臭いなどが気になり必要に応じてザル上げなど水きりをし、微細なものを除去する又は、新鮮な炊飯水と入れ替えるなどの場面もあると思います。その際、時間は5分程度で直接風が当たらないように濡れ布巾などをかけるといった工夫が必要です。いちど水に浸したお米は割れやすく、動かす回数が多いほど「小ごめ」が出来やすいので上手く炊くことができません。扱いは十分気をつけなくてはならないです。

4.水加減

水加減は、炊き上がりの具合を見て調整します。
通常はお米の重量に対して約1.35倍の加水を目安とします。お米の新米・古米によること、炊飯器の種類により調整が必要です。お米の計量時にきちんと計ることで水加減の調整が容易になります。

炊飯器による水加減

◇IH炊飯器

新米時に若干調整が必要ですが特に気を使わず常に、炊飯器内がまの目盛り通りに炊いてください。

◇ガス炊飯器

新米の切り替わり時期や米質により多少調整が必要とされます。

5.蒸らし

蒸らしの目的

炊き上がり直後は炊飯器内の米粒の水分が不均衡な為、10分~15分は蒸らします。
その間に米粒間の水分が均衡になります。

注意点

現在、電気炊飯器の多くは蒸らし時間を含めた炊飯時間を設定し調整しています。器具取扱説明書をご覧下さい。蒸らし時間は長すぎると炊飯器内の余分な水分がごはんに吸われ、味の無いごはんになります。くれぐれもご用心。

6.ほぐし

ほぐしの目的

蒸らし後の余分な水分を飛散することにより、ごはん粒表面を冷やし老化させることで適度な歯ごたえと透明感のあるツヤをつくることにあります。釜内のご飯は、場所によって若干の味にムラがあるため、ほぐすことにより味を均一にする効果もあります。
この作業はすぐ食べないで保温をする場合も必ず行ってください。注)タイマー炊飯の場合も同様にほぐしは必要になります。

注意点

せっかくのごはん粒を壊さないように、愛情をこめて・軽く・やさしく・素早く・こまめにすることです。